マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

青森旅行① ヒバ千人風呂で思うこと

f:id:mauymiuo:20170903101254j:plain間鵜井家は青森県が好きである。3泊4日ではいつも物足りない。だが、物足りないからまた行きたい。前回は敢えて極寒の2月をチョイスした。豪雪地帯を肌で体感したかったのだが、今年の青森市内は何時になく積雪が少ないとのことであった。タクシーの乗務員曰く
アスファルトが見えてますからね」
それでも八甲田山はイメージにピッタリであった。3メートル以上の雪の壁の間をJRバスは進んで行く。明治の雪中行軍で知られる八甲田山。今は自衛隊の方々が訓練をされている様だった。
美魚たちは外国人スキー客で溢れたロープウェーで山頂に登ったが、景色は吹雪で殆ど何も見えなかった。安魚はモコモコに着膨れしているにも関わらず、余りの寒さに1分も持たず
「安魚の手がカチンコチンだよー!」
としくしく泣き出してしまったことだ。可哀想に、こんな小さい子(2歳)連れて来て、と言う目で周囲に注視されつつ、美魚たちは冷えた体を暖める為に、八甲田山麓の酸ヶ湯温泉旅館の立ち寄り湯を利用した。その時の印象が良かったので、今回は宿泊してみた。青森市内からの送迎バスで向かう。
酸ヶ湯温泉旅館の創業は300年とのこと。建物は昭和初期と云う。古色蒼然の魅力的な温泉旅館である。客室は廊下を隔てた襖のみ。誰かが廊下を歩くと部屋にみしみし音が響く。こんな温泉でしんみり湯治をしてみたいが、1泊でも楽しめる。
何よりの呼び物は、大浴場ヒバ千人風呂(混浴)である。曖昧な境界線の向こうにおっさんたちが見える。逆にあちらからはおばさんたちが見えていることだろう。開放的な160畳もの空間で湯に浸かるも、本当にリラックス出来たのは8時からの女性専用タイムになってからである。混浴の時はちぢこまっていた女たちが、だだっ広い浴場を無言で動き回っている。すーっと入って来ては、乳白色の湯の中をザブザブ歩き回り、浸かる。後から後から入ってくる。体型は一様に突き出たお腹をして、腰からお尻にかけてずっしり肉をつけている。それを晒して平気でいるが、前は隠しているのが奥ゆかしい。皆おばさんからお婆さんばかりなのだが、団体客がいないのか、かしましい嫌らしさがない。だんまりのその裸を見るともなく見ていると、美魚は自分の行き着く先が見えた気がする。木造の浴場は時間の感覚も曖昧になる。今は江戸時代かもしれない。神棚の灯明も照明も電気なのだが、湯気の中では松明の様にも見える。裸体は非現実である。裸体で無言の女たちが、静かに動き回っているのは絵画的で、あの世のようで、前世のようで、美魚は心地よい湯に頭がぼんやりとして、現世からトリップした気分になる。
70代の自分に出逢った気がする。もう体型が崩れても平気でいられるのだ。呑気に湯治を楽しめるのだ。
湯から上がり、体を拭いてからヴィヴィアンの真鍮リングを着けた。恐るべし強酸性の湯。翌日リングの跡が真っ黒に指についていた。一晩でヘアピンが腐食していたことである。
雨の朝だ。辺りは次第に霧に包まれていく。
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魔法と少女に憧れて

安魚は魔法使いの女の子に憧れている。
クリーミーマミ
おじゃ魔女どれみ
プリキュアが大好きだ。
近所のドラッグストアの出入口付近に、
六台ほどガチャマシーンが設置されている。
安魚はいつもとりあえずへばりついてねだる。
今回はプリキュアのガチャガチャだったので、
珍しく美魚の財布の紐が緩んだことだ。
というのも、
先日中野ブロードウェイに行った折に
またしてもクリーミーマミの魔法ステッキを
かなりしつこくねだられたためだ。
前回見た時は8万くらいのものがあったが、
今回は13万のものが展示されていた。
「安魚魔法が欲しいの!」
そんなの無理に決まってんだろ。
そのうち私が作ってやるよ。
美魚はしくしく泣きそうな安魚を引き摺って離れた。
そんな経緯があるのでプリキュアのガチャで、
50センチサイズのビニールステッキ 
キャンディロッド 
がゲット出来たらラッキーである、と考えた。
だが、残念なことに財布の中には50円玉二枚と100円玉一枚しかなかった。
「ごめん!50円だから出来ないや」
「出来るよ!やってみてよ!」
安魚は諦めない。
以前ドラッグストアの店内で、
両替を頼んでいた小学生がレジですげなく断られたのを美魚は目撃している。
「また今度ね。さっき100円使っちゃったから」
「だから最初に買えばよかったんだよ!」
ガチャマシーンの前で押し問答が続くので、
美魚は思いきって
「じゃあやって見せるから待っとけ」
と、50円をいれて見せた。
返却されてくるハズが、
まんまと詰まらせてしまった。馬鹿か‥‥。
お店の人に経緯
(間違えて入れちゃいました)を説明すると、
スゴく親切な事に
「じゃあ今200円貰えたら開けますんで、直接取っていいですよ」
内緒!
ジェスチャー付きでマシーンを開けてくださった。
目指すキャンディロッドは見えている。
紫でもピンクでも。
なのに安魚は迷わずスカを捕る。
何でなのぉ。
これだよ!
と美魚が言うのをまるで聞かないのだから仕方ない。

200円の投資でゲットするチャンスをふいにして
「またお金ある時ステッキ取ろうねー」
とか言うのを聞くと怒るに怒れない。
その通りなんだよね。
たまたま目視出来たけど、
本来は何が出るか分からないのがガチャガチャである。
そのうち約束したマミちゃんのステッキを作ってやらねば。
得意の木粘土でな。
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ますかけは引かれ合う

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美魚の右手にはますかけと呼ばれる線がある。
二十歳くらいの頃、新宿を歩いていたら
「手相見せてください」
と、若い女性に呼び止められた。
美魚が何の気なしに右手を差し出したところ、
女性は唐突に
「あなたはわがままな性格ですね」
と宣った。
他にも何か言われたかも知れないが、余りに驚いたので覚えていない。
その後手相の本などで調べると、
感情線と頭脳線が一本に繋がったものをますかけと呼ぶらしい。
美魚の父には両手にますかけがある。
わがままである。
美魚の母方の祖母にも右手のますかけがある。
頑固ではある。
不思議なことに旦那さんにも両手にますかけがあり、
自分の意見は曲げない。
さらに義母にもますかけがあり、
旦那さんの甥っ子にもますかけがある。
そして安魚にもますかけがある。
安魚の場合は何処から遺伝してきたものか、
美魚の母方の祖母か、
美魚の父か、
美魚か、
旦那さんか、
義母か、
もはや分かりかねる。
義母が産まれたての安魚の手を見て、
「これはうちの遺伝なのよ!」
と喜んでおったので美魚は黙っていた。
引き寄せの法則は、
要は、類は友を呼ぶということらしい。
そしてますかけも多分呼び合うものだと美魚は考えている。
手相占いでは、
珍しい、
金運がある、
掴んだ物は離さない、
天職で大成功、
など喉ごしの良い言葉が並べられ勝ちだが、
ますかけの性格は、かの街角でばっさり言われた
「あなたはわがままですね」
のほうが的を得ている。

美魚はそれからも街で
「手相を見せてください」
と言われるのを待っていたが、
さっぱり出くわさない。
別に人に言われなくとも、
美魚は自分がわがままなのは、
ちゃんと分かっているつもりである。

どうしても飼いたいの

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旦那さんが仕事先でプレステ2を貰ってきた。
ソフトなどは後から108円のを幾つか買ってきた。
分からないなりに安魚はおとんと対戦して楽しむ。
しばらくすると安魚は、
こどもちゃれんじの体験版DVDを何処からともなく引っ張りだしてきて、
「このトラ太郎のゲームやる」
と言う。
パソコンが5年前に壊れているし、
DVDプレイヤーも4年前に壊れている。
プレステ2でずっと見たがっていたこどもちゃれんじの体験版DVDを、
安魚はやっと見ることが出来た。
内容は一口サイズの童謡や生活習慣、トイレの躾などの学習アニメであった。
そのトイレのアニメは有益で、安魚は一人でパンツを脱いで
「行ってくるねー」
とトイレに行けるようになった。
有難う、しまじろう。
DVDには他にも病気、妹を可愛がる、などの内容もあり、安魚は赤ちゃんに優しくするしまじろうに興味津々であった。
そして徐々に、
「安魚赤ちゃんが飼いたいだけ」
と繰り返しねだり始めた。

「赤ちゃんは売ってないし、飼うもんじゃないよ」
「安魚どうしても赤ちゃん飼いたいの」
そんなお願いをされたら、他のご家庭では何とお答えになるのだろう。
兄弟づくりを検討されるのだろうか。
「うちは赤ちゃん飼えないの、ごめんね」
これでは返答としておかしい。
「うちは安魚しか神様に貰えなかったんだよね」
とメルヘンで誤魔化すか。

「安魚赤ちゃん好き。ノラ(うちの猫)も好き」
何にせよそういう気持ち、小さいものを可愛がる心が生まれたのは良いことである。
安魚は大切な体験版DVDを繰り返し自分で見ている。

なんか、健気。

安魚、卒乳卒オムツ

安魚は今日3歳4ヶ月にして、始めておまるで大に成功。
続けて小にも成功した。
オムツを外すのは安魚が承知せず、
おまるの使用も頑なに拒んでおったが、
説得してトレーニングパンツを履かせた。
やはりオシッコを漏らし、
足元のオシッコだまりで遊んでおとんにこっぴどく叱られたのがよかったのだろう。
予告が出来るようになった。
オムツで大をする前にいつも
「おなかゆるいー」
と言ってから出すので、
おなかゆるいーを聞いてすぐパンツを脱がせ、
おまるに股がらせると、すんなり出た。
小も
「オシッコでそうー」
でパンツを脱がせ股がらせるとうまくいった。
余りに簡単なので驚く。

3日ほど前から漸く卒乳も出来た。
ああ、3年4ヶ月。
美魚は20年ほど前に、
ラカンの複合家族という本を読んだことがある。
もう内容はほとんど忘れたのだが、
子供に母乳を無理矢理断念させた記憶は生涯消えない、というようなことが書いてあった気がする。
だが、実際には、
せっかく出るものを止めさせる理由がないので、
1歳も焦らず、
2歳は少し不安もあったが続け、
3歳はちょっとヤバイかなぁと思いつつ、
惰性で寝しなに、起き抜けに与え続けた。
「いつまでおっぱい飲んでんの?」
おとんの問いに安魚は、
「モンスターみたいに大きくなったら止める」
と舐めたこと言っておったが、
とうとう
「安魚はもう妖怪ウォッチとかあるからおっぱいいらないよ」
と自分から離れていった。
3年4ヶ月位なら大したことはないな、と美魚は思う。
口だけ達者でおっぱいオムツの赤ん坊が、
漸く幼児に到達したことだ。
オムツを外すとプールや温泉、
じゃぶじゃぶ池など楽しいことがたくさんある。
今月末に青森にまた行ける。
酸ヶ湯温泉に行くんだぜ。
それまでにオムツは外そうとは考えていたことだ。

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8月の決まりごと

美魚は毎年8月には、はだしのゲンを読む。
別に決めている訳ではないが、何となく読んでいる。
小2の頃に読んだのが夏休みだったせいか、
8月6日の式典があるせいか、
以後毎年読んでいるような気がするものの、
小、中、高と図書室で借りて、
以後大人になって、忘れた頃に古本屋で出会って全巻揃えた。
美魚は一度広島に行ってみたいと何となく思っていたことだが、
4年前の12月にその機会を得ることが出来た。
安魚をまだ身籠っていた時だ。
原爆ドームの前に実際に立ち、少し前に鬼籍に入られた中沢啓治さんに思いを馳せた。
原爆資料館を見学してみて、一階のうちは全然平気であった。
二階からじわじわと苦しくなった。地下の体験者の絵画を見たときは憂鬱が持ちきれなくなっていた。原爆資料館を後にして、言葉少なに宵闇のなかに出た。
重苦しくて堪らなかった。
会社員たちが仕事を終えて、リラックスしてオフィスから出てくる。
街には華やかに明かりが灯っている。賑わう歳末の都市の姿をみて、全てが夢のように思われたことだ。
美魚は面白いからはだしのゲンを読む訳で、
戦争の、核の、被爆の、反戦の、と常に強い気もちでいるつもりもない。
赤ん坊が死ぬ。それだけが悲しい。
赤ん坊が死んだ親。それだけが切ない。
みんな死ぬけど、赤ん坊のうちに死んだりしないで欲しい。

あやまちはくりかえしませぬから。

フィッシュマンズの8月の現状を聞きながら今年もはだしのゲンを読む。
毎年変わらないことが有り難い。
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安魚の遊び

日中は暑いので夕方まで家で遊ぶことが多くなる。さっきから安魚が居間でドスンドスン何かをやっている。美魚が台所から覗くと柱を昇っておった。f:id:mauymiuo:20170729153356j:plain丁度柱のでこぼこが足掛かりになるようだ。毎日色々遊びを思い付いて飽きないやつである。