マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

青森旅行④ 浪岡

f:id:mauymiuo:20170903164430j:plain青森最終日。奥羽本線 浪岡駅周辺を散策する。漁太郎があぴねすという駅直結施設でバスの時刻を尋ねると、トランクを無料で預かってくださるとのこと。さらに親切な事に、館長さんに直々に案内されて、駅前に作られたりんご園のもぎ取り体験をさせて頂けた。
美魚はりんごが大好きである。一年中りんごを食べずに居られない。青森でしか出回らない新種のりんごを食べるのも楽しみのひとつである。館長曰く、新種はわせに多いとのこと。わせは日持ちがしないので県外に余りでないのだそうだ。毎年どんどん出てくるので把握しきれないそうである。もぎ取りをさせて頂けたのはつがるのわせである。3人で一つずつもぎ取り、無料なのも嬉しい。
バスが出てしまっていたので、歩いて道の駅 アップルヒルに向かう。15分位である。見晴しの良い公園で安魚を遊ばせる。その足元で久々に四つ葉のクローバーに出逢った。美魚はこの頃四つ葉に出逢えなくなっていたので、もう一生分取ってしまったのだと思っていた(30本くらい)。青森の3本の四つ葉は美魚を祝福している様にも見えたことだ。
市営バスで浪岡駅に戻る。浪岡川で昔不美人が顔を洗ったら、美人になったという伝説があるそうだ。是非美魚も顔を洗いたかったが、そんなに清涼な雰囲気ではなかった。
新青森に戻り、はやぶさに乗る。楽しかった時は終る。また近いうちに青森に行きたい。何がそれほど惹き付けるのだろう。青い森というネーミングだろうか。
美魚は都心近くに一軒家を持つ野望を棄てて、青森に移住出来たら幸福であると思う。青森も大好きだが、東京も好きである。どちらも美魚には縁もゆかりもないが、家出者には何処でも同じであろう。美魚は好きな所に住めるのだ。f:id:mauymiuo:20170903165015j:plain

青森旅行③ 狸のケーキ

漁太郎は朝からアーケード内のパンとケーキの店に向かう。毎回青森に行く度に立ち寄る昭和なパン屋さんであるが、今月31日をもって閉店とのこと。美魚と安魚はのんびりホテルで過ごして待つ。今日は浅虫温泉に向かう予定である。それにしても遅いな、と心配になってきた頃、10時前に漁太郎はやっと狸のケーキとエクレアなどを買って帰ってきた。f:id:mauymiuo:20170903152258j:plain
「すごい人。そしてパンはなんもない」
美魚の住む住宅街の外れにも、似たようなパンとケーキの店があり、5年ほど前にひっそり閉店した。そこにも狸のケーキがあったが、今や狸のケーキは絶滅危惧種であり、余りお目にかかる機会が無くなりつつある。久々に出逢った狸のケーキはルックス先行で、パサパサのスポンジと固いクリームがただ懐かしかったことだ。
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青森旅行② 白龍の夢の源泉

美魚は8月半ばに、白龍に乗った狩衣姿の神様みたいな人の夢を見た。目が覚めてそのパワーの強大さに震えたことである。そのイメージが何処から来たのかずっと考えていたことだが、青森市内にあるうとう神社にその答を見つけた気がした。青森市に行くと美魚たちは必ずうとう神社の本殿に御詣りしているが、奥の方に龍神様が奉られているのを忘れてはならない。
龍神の池はパワースポットであるという。泉の水は龍神の石像の口から滔々
と溢れ出している。飲めば必ず霊験が有りそうである。もしや夢に現れたのはこちらの龍神様ではあるまいか。ご縁が出来たのではあるまいか。美魚は恭しく参拝したことである。
だが、またのちに、それはねぶたのモチーフではなかったか、と思い至る。

以前陰陽師のねぶたが何処かにあったように記憶している。五所川原のたちねぷたかも知れない。
あー、そうだったのか、と美魚は納得したことである。神様ではなく安倍晴明であったのか。
だが、美魚が夢に見たのは白い龍神様で、白い狩衣を着た神様であると認識したのであるから、本当にうとう神社の龍神様だったのだとも思う。
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青森旅行① ヒバ千人風呂で思うこと

f:id:mauymiuo:20170903101254j:plain間鵜井家は青森県が好きである。3泊4日ではいつも物足りない。だが、物足りないからまた行きたい。前回は敢えて極寒の2月をチョイスした。豪雪地帯を肌で体感したかったのだが、今年の青森市内は何時になく積雪が少ないとのことであった。タクシーの乗務員曰く
アスファルトが見えてますからね」
それでも八甲田山はイメージにピッタリであった。3メートル以上の雪の壁の間をJRバスは進んで行く。明治の雪中行軍で知られる八甲田山。今は自衛隊の方々が訓練をされている様だった。
美魚たちは外国人スキー客で溢れたロープウェーで山頂に登ったが、景色は吹雪で殆ど何も見えなかった。安魚はモコモコに着膨れしているにも関わらず、余りの寒さに1分も持たず
「安魚の手がカチンコチンだよー!」
としくしく泣き出してしまったことだ。可哀想に、こんな小さい子(2歳)連れて来て、と言う目で周囲に注視されつつ、美魚たちは冷えた体を暖める為に、八甲田山麓の酸ヶ湯温泉旅館の立ち寄り湯を利用した。その時の印象が良かったので、今回は宿泊してみた。青森市内からの送迎バスで向かう。
酸ヶ湯温泉旅館の創業は300年とのこと。建物は昭和初期と云う。古色蒼然の魅力的な温泉旅館である。客室は廊下を隔てた襖のみ。誰かが廊下を歩くと部屋にみしみし音が響く。こんな温泉でしんみり湯治をしてみたいが、1泊でも楽しめる。
何よりの呼び物は、大浴場ヒバ千人風呂(混浴)である。曖昧な境界線の向こうにおっさんたちが見える。逆にあちらからはおばさんたちが見えていることだろう。開放的な160畳もの空間で湯に浸かるも、本当にリラックス出来たのは8時からの女性専用タイムになってからである。混浴の時はちぢこまっていた女たちが、だだっ広い浴場を無言で動き回っている。すーっと入って来ては、乳白色の湯の中をザブザブ歩き回り、浸かる。後から後から入ってくる。体型は一様に突き出たお腹をして、腰からお尻にかけてずっしり肉をつけている。それを晒して平気でいるが、前は隠しているのが奥ゆかしい。皆おばさんからお婆さんばかりなのだが、団体客がいないのか、かしましい嫌らしさがない。だんまりのその裸を見るともなく見ていると、美魚は自分の行き着く先が見えた気がする。木造の浴場は時間の感覚も曖昧になる。今は江戸時代かもしれない。神棚の灯明も照明も電気なのだが、湯気の中では松明の様にも見える。裸体は非現実である。裸体で無言の女たちが、静かに動き回っているのは絵画的で、あの世のようで、前世のようで、美魚は心地よい湯に頭がぼんやりとして、現世からトリップした気分になる。
70代の自分に出逢った気がする。もう体型が崩れても平気でいられるのだ。呑気に湯治を楽しめるのだ。
湯から上がり、体を拭いてからヴィヴィアンの真鍮リングを着けた。恐るべし強酸性の湯。翌日リングの跡が真っ黒に指についていた。一晩でヘアピンが腐食していたことである。
雨の朝だ。辺りは次第に霧に包まれていく。
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魔法と少女に憧れて

安魚は魔法使いの女の子に憧れている。
クリーミーマミ
おじゃ魔女どれみ
プリキュアが大好きだ。
近所のドラッグストアの出入口付近に、
六台ほどガチャマシーンが設置されている。
安魚はいつもとりあえずへばりついてねだる。
今回はプリキュアのガチャガチャだったので、
珍しく美魚の財布の紐が緩んだことだ。
というのも、
先日中野ブロードウェイに行った折に
またしてもクリーミーマミの魔法ステッキを
かなりしつこくねだられたためだ。
前回見た時は8万くらいのものがあったが、
今回は13万のものが展示されていた。
「安魚魔法が欲しいの!」
そんなの無理に決まってんだろ。
そのうち私が作ってやるよ。
美魚はしくしく泣きそうな安魚を引き摺って離れた。
そんな経緯があるのでプリキュアのガチャで、
50センチサイズのビニールステッキ 
キャンディロッド 
がゲット出来たらラッキーである、と考えた。
だが、残念なことに財布の中には50円玉二枚と100円玉一枚しかなかった。
「ごめん!50円だから出来ないや」
「出来るよ!やってみてよ!」
安魚は諦めない。
以前ドラッグストアの店内で、
両替を頼んでいた小学生がレジですげなく断られたのを美魚は目撃している。
「また今度ね。さっき100円使っちゃったから」
「だから最初に買えばよかったんだよ!」
ガチャマシーンの前で押し問答が続くので、
美魚は思いきって
「じゃあやって見せるから待っとけ」
と、50円をいれて見せた。
返却されてくるハズが、
まんまと詰まらせてしまった。馬鹿か‥‥。
お店の人に経緯
(間違えて入れちゃいました)を説明すると、
スゴく親切な事に
「じゃあ今200円貰えたら開けますんで、直接取っていいですよ」
内緒!
ジェスチャー付きでマシーンを開けてくださった。
目指すキャンディロッドは見えている。
紫でもピンクでも。
なのに安魚は迷わずスカを捕る。
何でなのぉ。
これだよ!
と美魚が言うのをまるで聞かないのだから仕方ない。

200円の投資でゲットするチャンスをふいにして
「またお金ある時ステッキ取ろうねー」
とか言うのを聞くと怒るに怒れない。
その通りなんだよね。
たまたま目視出来たけど、
本来は何が出るか分からないのがガチャガチャである。
そのうち約束したマミちゃんのステッキを作ってやらねば。
得意の木粘土でな。
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ますかけは引かれ合う

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美魚の右手にはますかけと呼ばれる線がある。
二十歳くらいの頃、新宿を歩いていたら
「手相見せてください」
と、若い女性に呼び止められた。
美魚が何の気なしに右手を差し出したところ、
女性は唐突に
「あなたはわがままな性格ですね」
と宣った。
他にも何か言われたかも知れないが、余りに驚いたので覚えていない。
その後手相の本などで調べると、
感情線と頭脳線が一本に繋がったものをますかけと呼ぶらしい。
美魚の父には両手にますかけがある。
わがままである。
美魚の母方の祖母にも右手のますかけがある。
頑固ではある。
不思議なことに旦那さんにも両手にますかけがあり、
自分の意見は曲げない。
さらに義母にもますかけがあり、
旦那さんの甥っ子にもますかけがある。
そして安魚にもますかけがある。
安魚の場合は何処から遺伝してきたものか、
美魚の母方の祖母か、
美魚の父か、
美魚か、
旦那さんか、
義母か、
もはや分かりかねる。
義母が産まれたての安魚の手を見て、
「これはうちの遺伝なのよ!」
と喜んでおったので美魚は黙っていた。
引き寄せの法則は、
要は、類は友を呼ぶということらしい。
そしてますかけも多分呼び合うものだと美魚は考えている。
手相占いでは、
珍しい、
金運がある、
掴んだ物は離さない、
天職で大成功、
など喉ごしの良い言葉が並べられ勝ちだが、
ますかけの性格は、かの街角でばっさり言われた
「あなたはわがままですね」
のほうが的を得ている。

美魚はそれからも街で
「手相を見せてください」
と言われるのを待っていたが、
さっぱり出くわさない。
別に人に言われなくとも、
美魚は自分がわがままなのは、
ちゃんと分かっているつもりである。

どうしても飼いたいの

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旦那さんが仕事先でプレステ2を貰ってきた。
ソフトなどは後から108円のを幾つか買ってきた。
分からないなりに安魚はおとんと対戦して楽しむ。
しばらくすると安魚は、
こどもちゃれんじの体験版DVDを何処からともなく引っ張りだしてきて、
「このトラ太郎のゲームやる」
と言う。
パソコンが5年前に壊れているし、
DVDプレイヤーも4年前に壊れている。
プレステ2でずっと見たがっていたこどもちゃれんじの体験版DVDを、
安魚はやっと見ることが出来た。
内容は一口サイズの童謡や生活習慣、トイレの躾などの学習アニメであった。
そのトイレのアニメは有益で、安魚は一人でパンツを脱いで
「行ってくるねー」
とトイレに行けるようになった。
有難う、しまじろう。
DVDには他にも病気、妹を可愛がる、などの内容もあり、安魚は赤ちゃんに優しくするしまじろうに興味津々であった。
そして徐々に、
「安魚赤ちゃんが飼いたいだけ」
と繰り返しねだり始めた。

「赤ちゃんは売ってないし、飼うもんじゃないよ」
「安魚どうしても赤ちゃん飼いたいの」
そんなお願いをされたら、他のご家庭では何とお答えになるのだろう。
兄弟づくりを検討されるのだろうか。
「うちは赤ちゃん飼えないの、ごめんね」
これでは返答としておかしい。
「うちは安魚しか神様に貰えなかったんだよね」
とメルヘンで誤魔化すか。

「安魚赤ちゃん好き。ノラ(うちの猫)も好き」
何にせよそういう気持ち、小さいものを可愛がる心が生まれたのは良いことである。
安魚は大切な体験版DVDを繰り返し自分で見ている。

なんか、健気。