マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

安魚の3歳児検診

安魚くん今日は3歳の子集まれー!の日だよー。3歳の子どもがちゃんと育てられてるか、チェックするんだね。
美魚と、この日の為に休みをとった漁太郎は、安魚を連れて保健センターに向かった。面談 身体測定 栄養相談 内診 歯科検診でほぼ一時間。何も問題なしである。虫歯が1本もないのが褒め処か。漁太郎は栄養相談では饒舌をふるい、美魚は他の母親の服装やアクセサリーが目につき、安魚は他の子どもを気にしていた。家に帰ると安魚は美魚に、
「安魚ね、かわいい女の子が気になったの」
「ふーん。近くにいたっけ?」
「離れたとこに座ってたの」
漁太郎がすかさず
「安魚もかわいいスカート欲しいのか?かわいい髪型にするか?」
と尋ねる。 
「安魚明日スカート買いに行く」 
またか。漁太郎はなぜか安魚を女装させる。彼が買うのはほぼ女児服だ。ピンクやハートやフリルが恐ろしく似合うのは、安魚がこけしソックリのおかっぱ頭なことと、こけしソックリの顔の輪郭にある。だが、初めは親がなんも分からない子どもに勝手に着せてたものが、次第に安魚のジェンダーを揺るがせたのも美魚は知っている。女は作られる、と云うのは本当だと美魚は思う。
「安魚を混乱させないで、こいつ自分を女の子だと思ってるよ」
「安魚の個性を否定すんなよ!」 
あーあ、またそれかよ。もうどうにでもなればいいよ。でもスカートだけははかせたくない。美魚は頭が固いんだろうか。面談で安魚の前に二冊の本が並べられていた。乗り物とくだものの絵本である。熟年保健師は 
「どっちが好き?」
と安魚に尋ねる。当然乗り物を手に取る。安魚ははやぶさが好きだからだ。これは一応何かのテストなんだろうか。だが、彼女は安魚がスカートをはきたいことは知らないのだ。今日の服装も男の子寄りにしていることだし。漁太郎は「またそれ着せてる」となじるが、この場で女児服着せるとめんどくさいじゃん。
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