マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

3歳の子供は平日ぶらぶらしないらしい

f:id:mauymiuo:20170514114416j:plain美魚はペン画をはじめる。安魚がしょっちゅうアトリエに
「お母さん迎えにきたよ」
と呼びにくるので進まない。漁太郎はGW中は持病の腰痛が悪化し、横になり入浴で痛みを和らげて過ごしたことだが、今日久々に安魚を連れて外出した。美魚は蒲団を上げて掃除機をかけると、出来るだけ進めようとペンをとる。
昨日は安魚に日本脳炎二期を接種させるため、再び病院を訪れた。女医は診察室に入ると安魚に向かって、
「今日はお休みしたの?」
と唐突に言葉をかけた。
「…ああ、まだ幼稚園いってないんだったね」
「はあ、来年です」
そうか、平日に予防接種にくる子はあまりいないのか。美魚はやっと意味が分かった。今回の安魚はまったく動揺せずに、接種を済ませた。強いねーともてはやす大人たちに、 
「痛いのは痛いけどね」 
などとコメントし、笑いをとる安魚。病院の横手には樹木の茂る公園があり、安魚は待ちかねて飛び込んで行った。折しも昼下がり。ベンチにはまばらにサラリーマン。貸し切り状態の砂場で安魚と泥団子をこねていると、つかつかと近づいてくるスーツの男性。美魚は多分コープ系のアンケートと言う名の勧誘だろうな、と待ち受けた。
「今日はー。今、ヤクルトさんを募集してまして」
なんだ、そっちか。ヤクルト購買の勧誘はときどきレディースの訪問を受けることだが、安魚がノコノコ玄関さきに出てくると
「可愛い!」
「今いくつですか?」
に続いて、
「今どこかに通ってるんですか?」
と聞かれることがある。
「いいえ、来年幼稚園の予定で」
これがレディースのタイムリーな受け答えらしく、
「一度ヤクルトの託児所の見学に来ませんか!」
と始まるのだった。
美魚は働くつもりはさらさらない。ヤクルトさんは週に5日も働いて、およそ5万くらいだという。頑張れば稼げます、皆子育て世代で、協力しあってます、お古を譲りあったり、子育ての相談もできます、お休みしたい時は前日に2本配ったりできます、今お時間あれば、託児所に見学にいきませんか!
矢継ぎ早に笑顔で説明する男性に、さも興味ありげに相づちを打っていた美魚は
「今んとこ働く必要ないんで、」
と笑顔で辞退した。
「あ、そうですかぁ。じゃあ」
男性は、早く言えと言わんばかりに公園から立ち去っていった。雨の日も風の日もヤクルト配れるガッツがあれば、まだ生活を安魚の幼稚園リズムに合わせられないという理由で二年保育をチョイスしたりはしない。世間並に子育てをするには、まずは環境。あらゆる方向性を幼児期に指し示すこと。そもそも美魚は3歳はまだ家にいて、ぶらぶら連れ歩く歳だと思うのだが、貧乏人の言い訳だろうか。