マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

安魚、こども園を見学

30年度に年中入園させる予定の安魚。家から歩いても行ける私立幼稚園は3件。送迎バスを利用せずに美魚にも自転車で通わせられる距離では、
(漁太郎はアンチ送迎バス派)
一般的な幼稚園4件、お寺系1件、カトリック系1件、そしてこども園に絞られる。
こども園は0歳から3歳までは保育園で、4歳から幼稚園になる。公立なので二年保育のみである。安魚の二年保育を決めた時から勿論念頭にあった園だ。だが、こども園はベールに包まれているように思われる。ホームページも曖昧だし、直接見学するほうが早い。
美魚は安魚を連れてこども園を訪れた。女性の園長に直々に概要を説明していただく。29年度総定員は107名。内4歳児は長期、短期合わせて29名。新たに募集されたのは短期保育の15名であった。
「こちらは普通の幼稚園とはかなり異なっていまして…」
美魚は手渡されたパンフレットに目をやる。
9時の登園(自由遊び中心) 
12時お昼(以後自由遊び)
2時の降園
その他諸々年間行事。
「何かを教えたりする時間は殆どありません。まずそこをご理解ください」
「一応、発表会や運動会みたいなものもありますが、大人が見て楽しむより、こどもが楽しんでやりたいことをやる感じですね。地味です」
まさに理想的である。ただ与えられたスケジュールをこなして行くのでは子供の自主性は育たない。
でも一番知りたいのは、入園についてである。
「定員は15名ですね。抽選できまります。外れた方は順位を決めて待機していただくか、私立幼稚園に行かれますね。今年は待機で5名入りましたね」
倍率は高いが、入れたら素晴らしいと美魚は思う。その理由の1つは格安だからだ。入園時に標準服という制服もどきを買うそうだが、8000円から9000円とのこと。その他準備品も微々たる金額。月謝は階層によるが、間鵜井家では6000円である。私立は入園金、考査料、設備費用、制服、用具類と初めにかかる。そして月謝は30000円近い。区の補助があってもかなりの金額になるだろう。公立って、タダみたいな値段だなと改めて思ったことだ。
申し込み書は10月に配布とのこと。
「では館内をご案内しましょう」
華美はなく質素その物なのがまた良い。子供の自由に任せて室内遊び、そと遊びがチョイスできる。園庭には手作り感満載の遊具。
(小屋やビールケースのキッチンなど)
今時のピカピカなキャラクター遊具など公立には無縁らしい。実に好感がもてる。園庭を遊んでいってよいとのこと。園児たちはばらけて数人ずつで遊んでいる。ほぼ自由時間しかないなんて…遊具はろくにないが、一応プールがある。砂場には水道完備。園庭の至るところで水しぶきがあがっている。彼らは水と泥があればそれで充分なんだろうか。野菜のプランターのイチゴはいずれジャムにして園児たちに出されるそうだ。職員は8人くらいが散らばって監督している。お遊戯や、楽器の音は聞こえない。給食食べてまた遊び呆けるだけなのか。いいな。
美魚は見学を終えて安魚に、
「ここ、いいじゃん。来たいね」
すると安魚は、
「来たくないけど」
「ただ遊んでりゃいいんだよ?」
「安魚はお母さんと友達だから」
1人で通うのが不満らしい。でもみんな親から離れて社会の中に放り込まれるんだよね。美魚も安魚をそうするつもりでいる。
漁太郎は別に幼稚園なんて行かせなくてもいいと言う。保育園や幼稚園に行かせない親は貧乏人のろくでなしのように思われそう。思われて平気な親は行かせないで済ませるのだろうか。タモリは幼稚園に行かなかったと公言していたが、それは彼の時代にも特別なことだったのだろうか。
幼稚園は教育機関であり、義務教育以前に必要なことを学習させる場所とのこと。だが、このこども園では学びは自主性に任せているという。遊び中心、遊びから学ぶこと。放任のように思われないこともない。保育園に毛がはえたくらいなのが美魚はいいと思うが、抽選に漏れたらどうしようね。