マウィミウオの世界

間鵜井美魚の生活雑記録

言霊とたわごとの違い

f:id:mauymiuo:20170908071935j:plain美魚は引っ越しがしたい。いろんな不動産サイトを眺めて家探しをするのが楽しい。昔住んでいたアパートの側に、8480万の物件を見つけた時は、毎日画像を眺めて妄想に耽ったことだ。思い続け、夢にも見る。実際その家の外観も見に行ったりして、もうすっかり住んでいるつもりでいた。が、売れてしまった。8480万の家をリアルで買える人がいるんだなあと改めて感嘆の声をあげたことである。
固定資産税や都市計画税で毎月20万近く払うなんて馬鹿馬鹿しいと貧乏人は思う。昔住んでいた部屋の家賃は64000円で1Kだった。その目と鼻の先の128平米の家は、中古でこの値段。あの頃何気なく歩いた家並、その持ち主たちがアパートの住人のゴミ出しにうるさい理由は、高い税金払ってるせいだったのだろうか。
毎日家探しをしていると、安魚もあれこれ口を出し始める。散歩中にマンションを指して
「安魚あの家がいい」
などという。
「マンションはやだなー他人が多すぎるから」
美魚が答えると漁太郎は
「イメージが貧困だね。安魚はあれ全部っていってんだよ」
と訂正する。あー、確かに。
美魚は4Kでいいのである。3人分の個室と居間があれば、リビングダイニングなど要らない。和室がひとつあればちゃぶ台を出して、寝るときは布団を敷くから。5LDKSなんて家は元から広すぎる。
漁太郎が仕事で留守の間に物件を見ながら、早く引っ越ししたいねーと言いすぎたと思う。安魚もその気になってしまった。帰ってきた漁太郎に
「引っ越すときあれもってっていい?」
「引っ越したら」
「引っ越すときは」
などと繰り返し確認するのでついに
「いつまでも引っ越し引っ越しいってんじゃないよ!現状に満足しろ!」
怒らせてしまったことだ。美魚に怒っているのである。
毎日美魚は引っ越すよ、引っ越そうね、と口にして、言霊を発動させようと考えていたのだが、曖昧な妄想ではダメなんだろうか。安魚に釘をさす。
「あんまりお父さんに引っ越すっていっちゃダメだよ。今すぐじゃないからね」
安魚はわざわざ漁太郎の側に行き確認する。
「おたんにあんまり引っ越すっていっちゃダメなんだよね、おかん?」
あー…3歳にはまだ分からないな。漁太郎の現状に満足しろ!は全てを停止させてしまう。つまらない。この家を買った時は嬉しくて家中の襖に絵を描いたことだ。住めるだけ住んだらまた引っ越す、美魚は始めからそのつもりなのだ。