マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

筑波山レポート

f:id:mauymiuo:20170922072322j:plain美魚はTXに乗って、漁太郎と安魚と3人で筑波山に向かった。
つくば駅から、1時発のシャトルバスに乗る。隣の席のおじいさんが、筑波山が車窓から開けるタイミングを教えてくれた。笑うと歯が四本しかない。何故かマレビトみたいに見えた。
筑波山をこんなに間近に見たのは初めてである。大きな赤い鳥居が緑の中で一際目立つ。そのおじいさんや、大半の人は筑波山神社入り口で下車。終点のつつじヶ丘まで、バスはゆっくり登って行く。カーブの度に麓の景色がチラチラ見えるだけで気分は高揚する。

そして、到着した美魚たちを、山腹の大きなガマがお出迎え。大きな観音様、大きな大黒天、大きな大仏。みんな面白おかしくて好きである。筑波山は、がまの油が有名らしい。それ故か至るところにガマである。ここからロープウェーで女体山に登れる。

ロープウェーではいつも来てそうな軽装のおじさんが二人。あとは美魚たちだけだ。霞ヶ浦が見下ろせる。あれなんだろう、と話しているとツルツル坊主のおじさんが
霞ヶ浦だよ」
と教えてくれた。遠く、つまようじのようなスカイツリーも見分けられたことだ。

ロープウェーを降りて、石段を登る。山頂付近は青っぽい岩を積み重ねたもので、よく滑る。
山頂のイザナミ神社にお詣りする。ハイキングコースの先には男体山がある。そちらにはイザナギ神社があるそうだか、時間の都合でお詣りを断念した。山頂から下界を見下ろすだけでも気持ちがリセットされる気がする。霞ヶ浦を教えてくれたおじさんは、既に特等席の突端の岩に腰掛けていた。今度はこの人が天狗に見える。ここの岩もすべすべなので注意が必要である。あっ、目の前で男の人が滑って転倒した。カメラが水溜まりに……。

遠景の美しい筑波山。3歳児の安魚を連れて、ゆっくり登るのにぴったりである。平日なので人も疎らである。途中がまの形をした岩があり、小石を口に入れると金運がアップするそうで、美魚もチャレンジする。投げ上げるので難しい。小さい石に変えると成功した。欲張るなと言うことか。

女体山を降りると男体山まで平坦な場所が開ける。ケーブルカーもここから乗れる。食堂のソフトクリームで小休止する。もう5時が近い。既に店じまいが始まり、男体山の影が広がり始めると肌寒い。

ケーブルカーで下山し、筑波山神社にお詣りをする。美魚のお目当てはここである。風格のある美しい本殿。こちらにお詣りに来られることが既にパワーなのだと感じる。境内を散策するのも楽しい。裏手に大杉を見上げる。抱擁し、生命力を分けて頂く。
ケーブルカーで降りる途中にも大きな杉が何本も見えた。こんな杉をいつか大きな神社を作るのに使うのだろうか。査定人が全国行脚して探すと言うのを聞いた事がある。

参拝を済ませて、ゆるゆると境内を降りて行く。筑波山神社入り口のバス停に向かう。
大きな赤い鳥居の中に、美しい夕陽がすっぽり収まっていた。今日も一日太陽の恵みは惜しみなく降り注がれた。見上げる空には、いつも龍の形をした雲がある。
神とは太陽だな、と、この頃美魚は感じる。これまで太陽は日焼けをさせる憂鬱なもので、日差しを避けることばかり考えていたが、今は多少肌が焼けても毎日パワーを体感したいと思うようになる。一応日傘は差す。

パワースポットと呼ばれる場所は巡るだけ御利益がありそうで楽しい。
だが、時々そのフトコロで働く人たちの無感動な表情が印象に残る。パワースポットで毎日働いていても、それはただの日常に過ぎないのか。お土産店や食堂の店員さんや、係員さん。パワーに溢れているようには見えないこともある。生業なんてものは単調に過ぎないものだが、覇気のなさが気になる。余計なお世話だ。
物見遊山は本人にはリアルが充実かも知れないが、美魚はあまり浮かれすぎないようにしたいと思う。f:id:mauymiuo:20170922080659j:plain