マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

いつの間にか消えて行く

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最寄り駅が始発化したお陰か、
美魚の家の周辺ではおびただしく建て売りが建築されるようになった。
倉庫や、畑は軒並み一戸建てに変貌してゆく。
美魚の住む一角だけが、新築分譲に囲まれて、昭和の面影を残している。
それに、周りの昭和家屋も徐々に外装リフォームが施され、この家だけ目立っておんぼろである。
思えば築39年の家に、もう15年も住んでいる。この15年の間に私道を挟んだ三軒で3人ひっそり亡くなっていたらしい。15年は長い時間なのだと実感する。
いつも話しかけてくる二軒隣のおばあさんに、
思いきって
旦那さん(80代)、入院されたんですか、お見かけしませんけど…と尋ねてみたら、
「去年の暮れに死んだんですよ」
と教えてくださった。
向かいの家のおっさんは(70代)急に全然見かけなくなり、
二軒隣のお爺さんはなんとなく見ないなあ、
と思っていたら、やはり亡くなっていた。
離れた角のお宅のおっさんは、普段から見かけなかったので、気にならなかった。
町会を脱会すると、向かいの家のおっさんが死んでも気づかない。
それに、奧さん(60代)とたまに顔を合わせても、
「うちの旦那この前死んだんですよ」
なんて、切り出してこない。
リフォームの施工主が奧さんになっていたので、
ついでにそれもおばあさんに聞いたら、
随分まえに突然亡くなったのだという。
おばあさんの言い方が興味深い。
「うちのねこちゃんを私道で遊ばせてたら、こんなとこで遊ばせんな!って怒るのよー、あの旦那さん」
「そしたらねぇ、しばらくして二匹とも死んじゃったのよ」
「でね、またしばらくして、今度旦那さんも亡くなっちゃったの…」
猫の恨み説か。


ふと、通りの向かい側の建築中の物件に引っ越したらどんな気分だろう、と考える。
住宅サイトで調べた所、価格は4980万であった。
高い…。