マウィミウオの世界

間鵜井美魚の生活雑記録

白樺の小枝

f:id:mauymiuo:20200216111056j:plain2月13日。天気は雨。ロープウェイは動いているようである。バスの出る11時半まで部屋でゴロゴロ過ごす。コロナウイルスの影響か、中国人の観光客は沢山はいない。それでもいないわけでもない。白人、青森県民、わしらみたいな他県民などが古い宿に集まっている。凄く山奥、というわけでもないのにこの隠れ里感がこうも醸し出されているのは何故だろう。軋む廊下や、薄暗い大浴場、充満している硫黄の臭い、そして圧巻の積雪量などが相まって酸ヶ湯温泉ホテルは異次元感を生み出し、時間すらないかのように佇んでいる。
しかし、忙しく立ち働いている従業員を見ればここは単なる現実の世界である。

バスで八甲田山ロープウェイ入口に到着。ロープウェイは15分間隔で運行している。乗客は殆どが外国人のスノーボーダーである。前回はあまりの寒さにしくしく泣いた安魚も、パカとへんなねこを握りしめ、嬉々として山頂に降り立つ。雨は止んで曇り。気温は-2度。全然へっちゃらである。視界も悪くない。
名物の樹氷はまるで物乞いの列のようだと美魚は感じる。タロットカードのコインの5の図柄を思い出す。神の恵みに遠く及ばない悲しい姿の人物。きっと教会の窓を離れてこの霊山にやって来たのだろうな。
高みから地表を見下ろしていると、なぜ気分がいいのだろう。見られる側から、見下ろす側に立っていることが、神の視点のようだからだろうか。遠くまでよくみえる、ということは気持ちがいい、それだけのことである。

美魚は白樺の小枝が欲しい。ロープウェイ入口駅辺りには沢山白樺が生えているが、皆深い雪に囲まれて近づくことができない。未練がましくうろついていたら、雪の上に一本小枝が落ちていた。
ありがとう神様。