マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

安魚、卒乳卒オムツ

安魚は今日3歳4ヶ月にして、始めておまるで大に成功。
続けて小にも成功した。
オムツを外すのは安魚が承知せず、
おまるの使用も頑なに拒んでおったが、
説得してトレーニングパンツを履かせた。
やはりオシッコを漏らし、
足元のオシッコだまりで遊んでおとんにこっぴどく叱られたのがよかったのだろう。
予告が出来るようになった。
オムツで大をする前にいつも
「おなかゆるいー」
と言ってから出すので、
おなかゆるいーを聞いてすぐパンツを脱がせ、
おまるに股がらせると、すんなり出た。
小も
「オシッコでそうー」
でパンツを脱がせ股がらせるとうまくいった。
余りに簡単なので驚く。

3日ほど前から漸く卒乳も出来た。
ああ、3年4ヶ月。
美魚は20年ほど前に、
ラカンの複合家族という本を読んだことがある。
もう内容はほとんど忘れたのだが、
子供に母乳を無理矢理断念させた記憶は生涯消えない、というようなことが書いてあった気がする。
だが、実際には、
せっかく出るものを止めさせる理由がないので、
1歳も焦らず、
2歳は少し不安もあったが続け、
3歳はちょっとヤバイかなぁと思いつつ、
惰性で寝しなに、起き抜けに与え続けた。
「いつまでおっぱい飲んでんの?」
おとんの問いに安魚は、
「モンスターみたいに大きくなったら止める」
と舐めたこと言っておったが、
とうとう
「安魚はもう妖怪ウォッチとかあるからおっぱいいらないよ」
と自分から離れていった。
3年4ヶ月位なら大したことはないな、と美魚は思う。
口だけ達者でおっぱいオムツの赤ん坊が、
漸く幼児に到達したことだ。
オムツを外すとプールや温泉、
じゃぶじゃぶ池など楽しいことがたくさんある。
今月末に青森にまた行ける。
酸ヶ湯温泉に行くんだぜ。
それまでにオムツは外そうとは考えていたことだ。

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8月の決まりごと

美魚は毎年8月には、はだしのゲンを読む。
別に決めている訳ではないが、何となく読んでいる。
小2の頃に読んだのが夏休みだったせいか、
8月6日の式典があるせいか、
以後毎年読んでいるような気がするものの、
小、中、高と図書室で借りて、
以後大人になって、忘れた頃に古本屋で出会って全巻揃えた。
美魚は一度広島に行ってみたいと何となく思っていたことだが、
4年前の12月にその機会を得ることが出来た。
安魚をまだ身籠っていた時だ。
原爆ドームの前に実際に立ち、少し前に鬼籍に入られた中沢啓治さんに思いを馳せた。
原爆資料館を見学してみて、一階のうちは全然平気であった。
二階からじわじわと苦しくなった。地下の体験者の絵画を見たときは憂鬱が持ちきれなくなっていた。原爆資料館を後にして、言葉少なに宵闇のなかに出た。
重苦しくて堪らなかった。
会社員たちが仕事を終えて、リラックスしてオフィスから出てくる。
街には華やかに明かりが灯っている。賑わう歳末の都市の姿をみて、全てが夢のように思われたことだ。
美魚は面白いからはだしのゲンを読む訳で、
戦争の、核の、被爆の、反戦の、と常に強い気もちでいるつもりもない。
赤ん坊が死ぬ。それだけが悲しい。
赤ん坊が死んだ親。それだけが切ない。
みんな死ぬけど、赤ん坊のうちに死んだりしないで欲しい。

あやまちはくりかえしませぬから。

フィッシュマンズの8月の現状を聞きながら今年もはだしのゲンを読む。
毎年変わらないことが有り難い。
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みーちゃの思い出

f:id:mauymiuo:20190710202752j:plain今日で安魚は3歳4ヶ月になる。そして今日はみーちゃの一周忌である。みーちゃとは12年飼っていた雌のアビシニアンだ。
みーちゃは脇の下にこりこりした塊が出来てから、少しずつこりこりが全身に広がって、大好きな銀のスプーンのカリカリを食べなくなった。たまにしか与えなかったカルカンパウチに替えたら、ムクッと起き上がってふたくちくらい食べたので、以後与え続けた。食欲の権化で、七キロもあったデブシニアンが、最後は三キロ以下にやせこけて、そして遂に死んでしまった。
ガリガリで足腰が立たず、死ぬ数日前からトイレに行けなくなった。漁太郎が
「いんだよいーんだよ」
と体を綺麗に拭いてやると、みーちゃはすまなそうにムームー鳴いた。哀れであった。
みーちゃは漁太郎になついていたので、死んだ朝も漁太郎の枕元だった。
「おい、おい!」
漁太郎が美魚を起こしたのが朝の7時くらい。まだ体は柔らかいままで、本当にひっそりと死んでしまったのだった。
漁太郎はみーちゃを抱いて号泣した。美魚は、もっとしてやれることがなかったろうか、と後悔した。涙にくれる二人に2歳の安魚は
「心配しないで、そんなに心配しないで」
と繰り返し言うので余計悲しくなった。
二軒となりの家の5歳の雄猫が、みーちゃより少し前に腎盂炎で死んだそうで、飼い主のじいさんは2日おきに自転車で点滴を打たせに病院へ通ったそうである。やっぱりその猫も怖いくらいにガリガリで、何も食べず、鼻水をたらしてぶるぶる震えていた。
じいさんはそれでも2ヶ月延命させたそうだが、美魚たちはみーちゃの延命をチョイスしなかった。あの腫瘍はがんだったのだろうか。病院で早めに手術をしたら元気になったんだろうか。等々美魚はみーちゃの亡骸をみて考えたことだった。
みーちゃは深大寺のペット霊園の分園にて供養していただいた。葬儀と火葬を深大寺で行い、遺骨の一部を分園に納めるのだという。引き取りまで一日あって、みーちゃの通夜を家族三人で行った。いつも入っていたバスケットに、花びらを食べるのが大好きだったみーちゃを安魚と花で埋めた。エアコンを強めにして、保冷剤を敷き詰めたのだか、半日くらいで匂い始めた。
翌日、迎えの車がやってきた。小さな白いバンだったが、係員の神妙さはなかなかだった。
みーちゃはバスケットごと車の中に納められた。ひんやりとして薄暗い中にもう一体、奥に段ボールが入っているようだった。
係員は扉を閉じて、車は出発した。美魚たちはまた涙が溢れた。
「みーちゃは車でいっちゃった」
しばらく安魚はそう言っていたことだ。
みーちゃは美魚の飼った2匹目の猫。だが、いつのまにか漁太郎の猫になってしまった。子猫の頃は美魚の腕に飛びかかり、かじりついてローリングするのが得意技であった。太り始めてからは一日中丸太のように台所に転がっていた。
顔だけ可愛いかった。
「みーちゃはみーちゃの国から帰ってくるよ」
「またみーちゃに会えるよ」
と安魚は予言をする。
美魚は今日、安魚を連れて近所の分園にお参りに行くつもりである。

ピンクピン太郎 瀧に届く

ピエール瀧さんがピン太郎ニュースをラジオで語る。それを漁太郎がYouTubeで美魚と安魚に聞かせた。
「トトロのメイちゃんみたいな女の子が、赤ちゃんパンダの名前はっ?て聞かれて、うーんと、うーん…。ピンクピン太郎!だって。(爆笑)」みたいな感じに喋っておられた。
確かにニュースの安魚は可愛かった。普段もあんな感じだけど、5割増しに可愛かった。
安魚に
「遂にピンクピン太郎が瀧に届いたよ」
と往年の電気ファンの美魚が言うと安魚がスマホを奪う。
「ピンクピン太郎が天井まで届いた画像みるー!」
違うけどね。

親にむかってなんだ!その台詞

安魚は3歳3ヶ月にしては口が達者であると美魚は思う。一人っ子であり、男の子であり、特定の友だちもいない、テレビっ子であるが、世にいう言葉の遅れる原因全てをクリアして、2歳始めには既に機関銃のようにつたない言葉を並べていた。
先日、寝しなに美魚は安魚の横に腹這いになり、絵本の読み聞かせをしていた。
安魚がどんどん体をひっつかせてきて狭い。美魚の顎の下に潜り込ませていた彼の頭を、いきなり上に動かしたのでぶつかって凄く痛かった。
「痛いなあ!狭いよ!そんなひっつくと」
美魚が文句を言った直ぐあとに安魚は言い返してきた。
「おまえがデカイから布団が狭いんだろ!」
達者というより、ぞんざいなのか。

安魚は恐ろしいことを平気で言う。
「お母さんなんてやっつけてやる!まずは扇風機で痛めつけて、窓から放り投げて、それから土に埋めて、ありさんに食べさせて、それからばらばらにして、それから骨にさせて、それから川に流す!」
それ、誰に教わったの?アンパンマンですか?それともティーンタイタンズですか。まさか、漁太郎?息もつかずなんてことを予告するのか。可愛い声で。

漁太郎は実家に帰るとよく彼の母と口論になる。この前のは彼の父の墓参に行った折である。
何の気なしに始めた会話から始まるが、余りに度重なると
「もううんざりだよ!」
義母が切れる。
「じゃああんたが納めればいんだよ」
「たまに話す時くらい人を思んばかった言い方しなさいよ!もう我慢の限界!」
「出来ない。そんなの俺のストレスになるもん」
安魚は
「けんかやめて~」
とうろうろ。
美魚はこの場に一滴の血も関わっていないので黙って眺める。
この親子は愛しあっているのでお互いに傷つけあっている。
私は親だ!思んばかれ!
俺は子どもだ!受け止めろ!
とお互いの立場を譲らない。
その場を楽しく、和気あいあいと孫をまじえた家族ごっこするよりずっとマシだと美魚は思う。それに要らんことを言って二人を怒らせるのではつまらない。
「美魚は俺らよりハートがマッチョだ
よ」
いきなり漁太郎が矛先を向けてきた。
「美魚は俺とは違う。美魚は親をもっとこてんぱんにやっつけていた」
どういうこと?
「まあ、あなたたちは二人とも似てるんですねー愛しあってますねー羨ましいですほんと」
美魚は無意味にへらへら笑って誤魔化した。


安魚は美魚に
「愛してるよ、お母さんが一番好きだよ」
と囁いたすぐあとに
「お母さん大嫌い。大きくなったらやっつけてやる!」
と手のひらを返す。
どちらも本当の安魚の気持ちなのだろう。
美魚は自分が、将来漁太郎の母ちゃんみたいになりそうだなと予見している。安魚も成長と共に、漁太郎のようにトゲトゲの断定的な言葉で追い込んでくるだろうか。美魚が学習したことは、そこに感情的になると負けるということだ。それでもやっぱり美魚は
「親に向かってなんだ!その台詞!」
3歳の子どもに向かって感情的に言ってしまうことだ。

安魚の将来の夢は?

f:id:mauymiuo:20170624065331j:plain安魚は少し前にケーブルテレビで放送されていた魔法の天使クリーミーマミが大好きであった。
「安魚くんは大きくなったら、何になるの?」
の問いに
「安魚は大きくなったらマミちゃんになる!」 
と宣言。かつて多感な少女であった美魚も、やはりマミちゃんになりたかったなぁと懐かしく思い出す。
先日中野ブロードウェイのショーケースに、マミちゃんのステッキが未開封で80000円くらいで販売されていた。当時も美魚には手の届かない代物だったが、80000円では安魚に買ってやることは到底不可能である…。

少女の美魚は、家ではいつもコソコソ絵を描いていた。絵と云っても落書きに等しいものであるが、色鉛筆で着色したりして、自分では作品のつもりであった。なぜ隠れて描くのか、と云えば、兄が馬鹿にするからだ。あれは多分、クリーミーマミちゃんの絵だったと思う。わりと上手く描けたな、と一人で満足していたことだが、
「お父さんー。美魚がこんなの描いてたー」(半笑いで)
兄は隠してあったはずのマミちゃんの絵を引っ張り出すだけでは飽きたらず、父のところに持っていって二人がかりで嘲笑したのだった。
悲しかったなぁ。
少しくらい絵が上手いからと云って、2歳下の妹の絵を笑い物にして、何の得があるのか。
少し前に兄から聞いたことがある。
「俺は子どもの頃はいつもアンテナを張ってお父さんに対処していた」
つまり、美魚を父と二人で笑い者にすることで保身を図っていたということか。やはり嫌なやつだったと美魚は思う。

因みに安魚はおじゃ魔女にもなりたいらしい。もっと以前は
「安魚はプリンセスになる!」
と宣言していたことだ。
なれないけどね。