マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

神様は宇宙人

宇宙は優しい。

美魚の口座に残金283円しかない。
もうどうしようもない。4月から安魚はこども園。宝くじは当たらないし、困窮していた。

前日に見た変な夢の話をしよう。
韓国人のおばさんが美魚の頭の少しうえを見ながら、
「あんたの頭の上に神様がついてる」
といきなり話しかけてくる。
鏡で見ると灰色の肌、黒い髪をたらし、オデコがぼこぼこ飛び出していて、目がバッタみたいな異形が映っていた。
まるで宇宙人だった。
ハッ、と夜中に目が覚めて、あ、夢か。バカにリアルな夢だったと美魚は思ったことである。


そのあと預けていた美魚の絵が売れたのである。
16万円になった。助かった…。

ありがとう。
宇宙は優しいのですね…
宇宙人(神様)が、ついてるのですね。
美魚はますます変な思考に嵌まりだすのであった。
まあ、いいや。
いいや。じゃないよ。
購入者様。
あなたが神さまです。

ノラ がりがり

14歳のメス猫、のらが2週間ほど前から食べなくなる。2年前のみーちゃと同じ症状である。猫は3日食べないと死ぬと聞いたことがある。それは大袈裟としても、このままでは死んでしまう…。
1日ウエットフードを6パック食べてた猫が、ひとさじがやっとだ。

ああ、老衰とは切ない…。まだ14歳。フォーティーン。

漁太郎は
君がそんなに気に病んでどうするの?もう十分可愛がったし、長生きしたよ
という。

美魚は思い出す。
ノラは里親募集でもらった雑種である。漁太郎と迎えに行ったとき、のらは鼻水をたらし、くしゃみをして、ブルブル震えている、みすぼらしい仔猫だった。
何でこんなすぐ死にそうな猫を漁太郎はもらう気なのか、
探せばもっと元気な可愛い猫がいるのに…。
美魚は釈然としなかった。
漁太郎は
「この猫は家が貰わないと誰も貰わないから。それに可愛くなると思う」
とのこと。仏か…。
そして、ノラは元気になった。可愛い猫に成長し、アビシニアンのみーちゃより長生きしている。
まだまだ生きていて欲しいと思う。
f:id:mauymiuo:20180224151712j:plain

無為に与えるスペース

f:id:mauymiuo:20180130083800j:plain

毎日を充実させて、こつこつ日々に成功を積み重ねたいと願う。
行為は有意義であるべきだ。
だが、なぜか、どうしようもなく無駄な事に夢中になったり、わざわざ草臥れに出掛けたり、骨折り損に終わったりする日がある。
そういう無為な時間は、全て無為に与えるマインドのスペースなのだ。
無為は人生の一画を占めていて、追い出すことは出来ない。
こんなこと、何でしたんだろ?
そういう悔恨も、無為に与えるスペースだ。

この絵を描くのが面倒臭くなって、半年くらい放置していた。その期間も無為に与えるスペースであったと思う。
一文の得にもならないが、得るものはある。
たぶん、必要のないものは存在しないのだ。
https://minne.com/@mauymiuo

必要なのは袋。

用品注文、安魚の健診などでこども園へ行く。
4月の入園に向けて、カバン類をやたら作らねばならない。
絵本入れ、着替え入れ、コップ入れ、歯ブラシ入れ、上履き入れ、加えてランチョンマット、紐のリングつきタオルなど、説明を聞いてるだけでため息がでる。
カバン類の作品見本を入園予定の保護者が手に取り参考にしているので、美魚も安魚を連れて行って、絵本入れを手に取る。簡素な長方形のキルティング袋である。
「こんなのだってよ」
安魚に見せると、子供たちと走り回って調子に乗った安魚は、美魚からそれを引ったくり笑いながら逃げていく。
捕まえて取り上げようとすると、事もあろうに職員の目の前で美魚の手に噛みつき、上履きのまま園庭に走り去ってしまう。
…ああ、恥ずかしいなぁ。
美魚はこの頃さっぱり安魚を馭せないのである。
親の云うことなんて別に聞かなくて良いか。でも、躾がなってないのは恥ずべきことだよなぁ。

袋類はキャラクターがNGだそうだ。
没個性の、名前だけはしっかり明記されたものが一番いいようだ。市販品も可だが、美魚は少しずつ作ろうと思う。

無知の知とは 3

f:id:mauymiuo:20180107193339j:plain美魚の分からない、釈然としないことの3つ目は、パンジーの花弁を食べる動物の事である。
美魚はベランダでささやかなガーデニングを楽しんでいる。花はパンジーとビオラの小鉢1つである。
そいつはある日から、突然やって来るようになった。
夜11時過ぎに、1階の東の窓の、庇の上に凄い音がした。隣の家の屋根から飛び降りたような、
ドターン!
と云う音の後に、小動物が駆け抜けるようなバタバタした足音が続く。
そいつは2階のベランダに入って、カタカタやっていたと思うと、今度は南の1階の窓の庇に飛び降りて、消えた。
な、な、なんだ?
美魚がベランダに行ってみると、パンジーの花弁が散らばっていた。
美魚は鉢を物干し竿の真ん中にかけてみた。
次の晩もやつは庇に飛び降りて、走ってベランダに飛び上がった。そして、また庇を駆け抜けていった。
翌日、やはりパンジーは吊り下げたにも関わらず食べられていた。
何度かそいつの正体を暴いてやろうと漁太郎と1階と2階に別れて待ち伏せしたが、未だに姿は見ていない。
猫より小さい、ネズミより大きいやつ。ハクビシンだろうか。
それにしたって、周りには狂ったようにガーデニングしている家も多々あるのに、なぜ、美魚のささやかな鉢を狙うのか。
分からない。

分からないと云うことは、すっきりしないし、気持ちが悪い。
夏の公園の滑り台に、子供の靴が見えた。
漁太郎は錯覚だといった。
天井から水滴が落ちてきた。
安魚は夢じゃない?といった。
冬の野生動物。これだけは現実に存在しているが、姿が分からない。

怖い話の再現ドラマのラストで
「あとから知ったことですが」
と解説が入ると、因縁を知ったようでふに落ちる気がするが、
あれは結局無くてもいいんじゃん?と、美魚は思う。 

美魚の分からない、釈然としない話は大したものではないが、知ったような解明(気のせい、脳の錯覚、単なる動物)を試みるより、どうせ分からないのだ、と思うほうが良いような気がする。




これは無知の知と呼べますか。

無知の知とは 2

f:id:mauymiuo:20180107141016j:plain美魚の分からない、釈然としないことの2つ目は、去年の12月にあった変な事。
美魚は朝8時過ぎに、2階のアトリエのソファで一服していた。
いきなり膝の上に、ボタボタっと水滴が落ちてきた。
天井の板の隙間から水が落ちてくる。
その日は快晴で、ここ数日雨も降らない。
ソファに立ってティッシュで水を拭い、臭いを嗅いでみた。野生動物の尿ではあるまいか?
だが、無色無臭である。
膝の水滴もだんだん乾いて、見分けがつかない。

あれ、なんだったの?

無知の知とは 1

f:id:mauymiuo:20180107135731j:plain美魚には分からない、釈然としない事が3つある。
1つは去年の8月の、人気のない昼下がりに、安魚と遊んだ公園で見た変な事。
安魚は滑り台で遊んでいた。小山を模したもので、下からは上に立つ子供の姿は見えない。そこに筒状の滑り台がついている。普段はいつでも子供に大人気であるが、暑さのせいか、今日は貸切状態である。
安魚は筒に入って、下からよじ登って遊んでいたが、美魚にはふと、継ぎ目の所に、子供の靴が揃うのが見えた。安魚と同じくらいの幼児のサイズだった。
「安魚ー、誰か滑ってくるからどきなよ」
と、美魚は安魚を筒から出して、子供が滑って来るのを待った。
しかし、誰も滑ってこない。
安魚も
「誰もいないよー」
と、また筒に入って遊び始めた。美魚は上に上がって確かめたが、やはり誰も居なかった。
辺りはシーンとして、子供もその親らしき人もいない。

あれ、なんだろう。