マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

安魚がだだこねる

安魚が風邪をひく。大したことはなさそうだが、病院に連れていく。
受付でどうされました?と尋ねられ、美魚が答えようとする先に
「咳がたくさんでますが、スピードは変わりません」
と安魚が答える。医師にも、薬剤師にも同様である。
安魚には病院=マクドナルドとインプットされていて、今日も行く気満々である。
帰り際に病院のロビーにある自販機に気づいた安魚は、ブドウジュースをねだり始めた。
「これ買ったらマックは行かないからね?」
と美魚は念を押す。
果たして安魚はジュースを半分飲んだあとに蓋を閉めて
「これ明日の分ね、マクドナルド行こう!」
と言い出す。
困るのは、薬局の前にマクドナルドが在ることで、当然そうなると予測済みだった。ブドウジュースを買い与えた時点で美魚が駄目なのである。
安魚はマクドナルドに駆け込み、勝手に
「ポテト下さいあと、ソフトクリーム」
と順番も無視してカウンターにオーダーするではないか。
美魚は引きずり出して、さっきの約束どこいったの!と安魚をしかり、自転車に連れていこうとしたが、ここから本気で駄々をこね始めた。
行くのー!行くのー!マクドナルド行くのぉー!と泣きわめき、じたんだを踏み、小刻みに動き回り、店内に駆け込もうと美魚を引っ張り、その姿は通行人の晒し者になり、お店に迷惑をかけ、何より美魚は腹を抱えて笑いたいのを噛み殺さなくてはならない。
なにこいつ、オモシロイな。
こんなにお馬鹿な真似ができるやつだったのか。
美魚は悪魔将軍ばりに
「きさまー!私を裏切りおって、どうなるのか、わかっているんだろうなー!」
と叱らなくてはいけないのだが。
20分くらい喚かせたあと、美魚は安魚にひっぱられてマクドナルドに入りポテトを買った。


この顛末を夜漁太郎に話したところ
「バカ親とバカ子供」

うん、私、バカ親なの!
安魚はバカ子供だよ。
でも、すごく面白かったから…。

ぼこぼこにしても俺なら言うこと聞かせるし、第一俺にそんな真似はしたことがないという。
安魚のじたんだを一度くらい見ればいいのに。オモシロイよ。
暫くはマクドナルドは行きませんけどね!