マウィミウオの世界

間鵜井美魚の生活雑記録

必要なのは袋。

用品注文、安魚の健診などでこども園へ行く。
4月の入園に向けて、カバン類をやたら作らねばならない。
絵本入れ、着替え入れ、コップ入れ、歯ブラシ入れ、上履き入れ、加えてランチョンマット、リングつきタオルなど、説明を聞いてるだけでため息がでる。
カバン類の作品見本を入園予定の保護者が手に取り参考にしているので、美魚も安魚を連れて行って、絵本入れを手に取る。簡素な長方形のキルティング袋である。
「こんなのだってよ」
安魚に見せると、子供たちと走り回って調子に乗った安魚は、美魚からそれを引ったくり笑いながら逃げていく。
捕まえて取り上げようとすると、事もあろうに職員の目の前で美魚の手に噛みつき、上履きのまま園庭に走り去ってしまう。
…ああ、恥ずかしいなぁ。
美魚はこの頃さっぱり安魚を馭せないのである。
親の云うことなんて別に聞かなくて良いか。でも、躾がなってないのは恥ずべきことだよなぁ。

袋類はキャラクターがNGだそうだ。
没個性の、名前だけはしっかり明記されたものが一番いいようだ。市販品も可だが、美魚は少しずつ作ろうと思う。

無知の知とは 3

f:id:mauymiuo:20180107193339j:plain美魚の分からない、釈然としないことの3つ目は、パンジーの花弁を食べる動物の事である。
美魚はベランダでささやかなガーデニングを楽しんでいる。花はパンジーとビオラの小鉢1つである。
そいつはある日から、突然やって来るようになった。
夜11時過ぎに、1階の東の窓の、庇の上に凄い音がした。隣の家の屋根から飛び降りたような、
ドターン!
と云う音の後に、小動物が駆け抜けるようなバタバタした足音が続く。
そいつは2階のベランダに入って、カタカタやっていたと思うと、今度は南の1階の窓の庇に飛び降りて、消えた。
な、な、なんだ?
美魚がベランダに行ってみると、パンジーの花弁が散らばっていた。
美魚は鉢を物干し竿の真ん中にかけてみた。
次の晩もやつは庇に飛び降りて、走ってベランダに飛び上がった。そして、また庇を駆け抜けていった。
翌日、やはりパンジーは吊り下げたにも関わらず食べられていた。
何度かそいつの正体を暴いてやろうと漁太郎と1階と2階に別れて待ち伏せしたが、未だに姿は見ていない。
猫より小さい、ネズミより大きいやつ。ハクビシンだろうか。
それにしたって、周りには狂ったようにガーデニングしている家も多々あるのに、なぜ、美魚のささやかな鉢を狙うのか。
分からない。

分からないと云うことは、すっきりしないし、気持ちが悪い。
夏の公園の滑り台に、子供の靴が見えた。
漁太郎は錯覚だといった。
天井から水滴が落ちてきた。
安魚は夢じゃない?といった。
冬の野生動物。これだけは現実に存在しているが、姿が分からない。

怖い話の再現ドラマのラストで
「あとから知ったことですが」
と解説が入ると、因縁を知ったようでふに落ちる気がするが、
あれは結局無くてもいいんじゃん?と、美魚は思う。 

美魚の分からない、釈然としない話は大したものではないが、知ったような解明(気のせい、脳の錯覚、単なる動物)を試みるより、どうせ分からないのだ、と思うほうが良いような気がする。




これは無知の知と呼べますか。

無知の知とは 2

f:id:mauymiuo:20180107141016j:plain美魚の分からない、釈然としないことの2つ目は、去年の12月にあった変な事。
美魚は朝8時過ぎに、2階のアトリエのソファで一服していた。
いきなり膝の上に、ボタボタっと水滴が落ちてきた。
天井の板の隙間から水が落ちてくる。
その日は快晴で、ここ数日雨も降らない。
ソファに立ってティッシュで水を拭い、臭いを嗅いでみた。野生動物の尿ではあるまいか?
だが、無色無臭である。
膝の水滴もだんだん乾いて、見分けがつかない。

あれ、なんだったの?

無知の知とは 1

f:id:mauymiuo:20180107135731j:plain美魚には分からない、釈然としない事が3つある。
1つは去年の8月の、人気のない昼下がりに、安魚と遊んだ公園で見た変な事。
安魚は滑り台で遊んでいた。小山を模したもので、下からは上に立つ子供の姿は見えない。そこに筒状の滑り台がついている。普段はいつでも子供に大人気であるが、暑さのせいか、今日は貸切状態である。
安魚は筒に入って、下からよじ登って遊んでいたが、美魚にはふと、継ぎ目の所に、子供の靴が揃うのが見えた。安魚と同じくらいの幼児のサイズだった。
「安魚ー、誰か滑ってくるからどきなよ」
と、美魚は安魚を筒から出して、子供が滑って来るのを待った。
しかし、誰も滑ってこない。
安魚も
「誰もいないよー」
と、また筒に入って遊び始めた。美魚は上に上がって確かめたが、やはり誰も居なかった。
辺りはシーンとして、子供もその親らしき人もいない。

あれ、なんだろう。

やはり引き寄せか。

f:id:mauymiuo:20171230185611j:plain図書館が正月休みになる前に、美魚は適当に本を沢山借りておいた。
プラトン著作や、スピリチュアル、雑学、児童本や小説など20冊ほどランダムにチョイス。
今日電車で、デュ・モーリア作、レベッカ 下巻の解説を読んでいて、この作品をヒッチコックが映画化していることを初めて知る。これ、有名な本なのかー、いつかケーブルTVでやればいいなぁ、と美魚は何となく思う。
電車を降りて、しばらく歩くと
「ご自由にどうぞ」
の、段ボールがある。
美魚は必ず物色するのが常である。

そこにあるではないですか…!
レベッカDVDが…。

美魚は、なんか、もう鳥肌が起つのであった。

神様セット

f:id:mauymiuo:20171230183847j:plain熊野神社に古いお札を納めて、新しくお札を貰いにゆく。毎年美魚は、3000円の神様セットを頂いている。大御神と、熊野神社札と、竃神とヒトカタ三つ、そして、白いヒトカタがあと二つ。
長年疑問に思っていた、白いヒトカタについて、今年始めて宮司さんに質問してみた。
三角形のモノは歳神様で、細長いものは大晦日に家をお祓いするものである、との事である。
15年近くこのセットをもらい受け、すべて神棚に上げていた美魚は、謎が解けて凄く清々した。
歳神様は元旦にやって来て、7日に行ってしまわれる訳ではなく、一年間滞在されるということが嬉しく、さらに大晦日に家をお祓いできるなんて、そんな良いこと何故早く質問しなかったのだろう。
もし知っていれば漁太郎は骨折しなかったかも知れない。
だが、美魚は今それを知ったことで、来年の災厄を防げるようにも思うのであった。
明日の夜はさっそく家中お祓いしよう。なんか、良い年が来そうではないか。

これも引き寄せか。

美魚はその日、朝から大掃除を始めた。漁太郎は居ないので、たぶん仕事に行ったのだろう。でも、朝は布団にいた気がするな、と片付かないような気分で猫トイレを洗っていると、昼前にいきなり漁太郎が右手に包帯を巻いて帰ってきた。昨日の仕事の休み時間に転倒し、余りに痛みが続くので今朝病院に行ってきた、とのこと。翌日紹介された別の病院でギプスをつけてきた。中指を骨折して、全治一ヶ月との診断である。
漁太郎がまた仕事をすることになった時に、美魚は
仕事なんてしなくていいのに。
私たちはもう金持ちなんだから。
と、考えた。正確には金持ちのつもりでいただけであるが、仕事をしなくていい、というのは現実になった。
漁太郎は肉体労働なので、右手を骨折するのは致命的である。
漁太郎は美魚に31万円を渡して、
「これなくなったら終り」
「でも、何とかなるでしょ」
呑気に話す。
美魚もそう思う。
財布に31万入れてるだけで楽しい気がするし。
漁太郎が骨折したのは美魚のせいだろうか。呪いか。引き寄せか。