1日の始まり
日の出まえの川岸に青鷺が一羽。
朝日が登り、
暖かい光に包まれた。
繁栄と衰退を助けるもの
‘’繁栄と衰退を助けるもの‘’は、
緑色をしているに違いない。
緑色は気味が悪いし、
緑色は体を食べられそうで恐ろしい。
だけどいつか美魚も、緑色になる気がする。
地球にいつか食べられる日がくるのだ。
土に埋めたぴょんたはそのうちに、
食べた団子虫の末裔たちに食べられるのだ。
そして地球になるのだ。緑色になる。
春にはまた、おたまじゃくしを捕まえて育てよう。
カエルはとてもかわいいから。
今度こそ長生きさせてやるのだ。
ぴょんた彼岸で眠る
ぴょんたはヒマラヤ水晶に頬を寄せて、
死んだ。
体は弾力を失い、硬直していた。
目は安らかに閉じていた。
つつくとピクリと反応した命が、
もう脱け殻になってしまった。
形だけ残して、ぴょんたは逝ってしまった。
やはり冬眠しきれずに餓死したのだろうか。
10月から食欲がなく、この3ヶ月をじわじわ死んだというのか。
去年は冬越し出来たので、油断したのだ。
またひとつ、この身に罪を負ってしまった。
もっと設備をととのえれば良かったんだ。
取り返しはつかないのだから。
ヒマラヤ水晶に近づく、というのは死の暗示なのかもしれない。
ぴょんたは死期を知っていたような気がしてならない。
安魚と可愛がってきたのでとても寂しい。
もう二度と、ぴょんたにエサやりできない。
あの、食べた後のかわいいアムアムが見れない。
安魚が学校から帰ってきたのでこの事を伝えて、
ぴょんたを土に埋めた。
ヒマラヤ水晶もぴょんたと一緒に入れてあげよう。
ぴょんたとぴょんぐを癒してくれてありがとう。
2年近い楽しい毎日をぴょんたと過ごせて嬉しかった。
そして。
ああ、カエルがいないのはとても寂しい。
カエルとヒマラヤ水晶
冬眠中でまったく動かなかったガマガエルのぴょんたが、
片隅のヒマラヤ水晶に近づいていた。
このヒマラヤ水晶は、以前からケースに入れて置いたものだ。
美魚はパワーストーンをこれまで沢山集めてきたが、はっきり言って、全くピンとこない。
何となく眺めるだけで終わってしまう。
カエルのケースに入れたのは、以前飼っていたぴょんぐが弱ってきて、
もしかしたら効果を発揮するかもと考えたからである。
ぴょんぐは死ぬ寸前までなぜかこの石にへばりついていた。
聖なるクリスタルのパワーを、カエルのほうが感じとれるとでもいうのか。
癒しというものを、ぴょんたも欲しているかのようだ。
ぴょんたはあと数ヵ月の冬を乗り越えられるのか、ヒマラヤ水晶のパワーにあやかりたい。
アポーツ現象
昨日、安魚の体操クラブに行った。
体育館の片隅で壁に持たれて、座って見学していると、安魚がクリアファイルを置きに走って戻ってきた。
近くまで来た時、美魚に投げてよこした。
クリアファイルはブーメランのごとく届いて、腰の辺りにぶつかって斜め横に落ちたと思う。目のはしに写っていた。なのに拾おうとしたら、もう無かった。
馬鹿な!
立ち上がってあちこち探したけど、
な、何で無いの?
世の中絶対ということはあり得ない。
だけど絶対に無い、という状況はあり得るのだ。
少なくともクリアファイルは消えたのだった。
もちろんカバンなどにも入れる暇はなかった。
小さなものは家でしょっちゅうなくなる。
主にアクセサリーや絵筆である。
だけどA4サイズのクリアファイルが消えるのは解せない。
アポーツ現象。
物体が忽然と消えてしまう不思議なやつ。
四次元空間に吸い込まれてしまったんだろうか。
なわとびスタンプカードがなぜ必要なの?
早く出てくればいいけどなぁ。