マウィミウオの世界

美魚の生活雑記録

玩具王とびないさん

7月下旬に、2年ぶりに青森へ出かけた。
今回は初めての下北半島である。
旦那さんが全て手配するので、
美魚は息子の安魚と暢気に着いて行くだけ、
おまかせ旅だが、
愛する青森の地に立つだけで十分。
もはや何も求めない。
だがここは恐山の麓、むつ市である。
いやが応にも、期待は高まる。
そして、その期待は裏切られなかった。

むつ市3泊4日のうちの、2泊の宿は本当にヘンテコだった。
非日常の旅行なのに、そこには日常がある気がした。

ひとん家感…。
ひとん家に初めて上がらせてもらった時に感じる、

あれ、結構汚いな。
ボロボロじゃん。
凄く散らかってるな。
よく恥ずかしくないな。
オバサン今いないの?
(友達のお母さんのこと)
と、思わず尋ねたくなるような、
がらんとした大きな家。
でも、落ち着くな。
好きかも…。
また、来てもいい?

そんな、子供の時に感じたようなひとん家感。
それがとびない本館の第一印象だった。
f:id:mauymiuo:20210825094746j:plain
美魚は寡聞にて存じあげなかったが、
一部のアート世界ではちょいと名の知れた、
とびないさんと仰る方の華城であるらしい。

始めに感じたひっそりした印象は、とびないさんの出迎えで一蹴されてしまう。

とびないさんは、古家の全てを活きづかせる、玩具の王のような方だった。
魔法なのか、ゼンマイなのか、この方も玩具ではなかろうか。

そう、此処とびない本館には、膨大な量の昭和玩具やモデルガンが、無秩序に配置されていた。
その全てはちゃんと玩具の役割を未だに果たしている。
陳列されたレア品も在ろうが、玩具王が手に取り遊ぶための、純然たる玩具だ。

安魚が勝手に遊び始める。馬鹿にうるさい。
とびないさんは当然のように

「あー、わらしさん来てるねー、子供がくると集団で集まってくるんだねー」

座敷わらしのことである。
宴会場に座敷わらしが大勢いるのだと仰る。
f:id:mauymiuo:20210825094602j:plain

安魚は別の客室で女の子の笑い声も聞こえたらしいし、(泊まり客は美魚たちだけ)
こりゃあオモチロイ所に来たなぁ。

そして、本当にわらしさんはいたのである。
汚れた中年の美魚には全く感じられなかったが、
安魚はピュアだから、わらしさんとフィーリングがあったらしい。
それが、この蛍のような発光体だという。
f:id:mauymiuo:20210825095809j:plain